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今回は、「断乳・卒乳」の進め方についてお話ししたいと思います。
おっぱいをやめるのに適した季節
これは絶対に知っておいてほしいのですが、出ているおっぱいをとめるのは、「乳腺炎を自分で引き起こす危険のある行為」ということを、おぼえておいてくださいね。そのため、断乳・卒乳は調子のいいときに行ったほうがよいです。お母さんとお子さんだけでなく、一緒に乗り切るお父さんも体調のいいときにするのがベストです。
おっぱいにしこりがあったりつまっているときは避けたいですね。寒い時期は血行が悪くなり、乳腺がつまりやすくなります。また風邪が流行る季節では体調も崩しやすいですし、真夏も意外と危険な時期で、冷房でおっぱいが冷やされてつまりやすいようです。さらに、雨が続く、梅雨の時期もおっぱいの調子は悪くなります。
時期が選べるのならば、気候が穏やかな春・秋に、最低でも1ヶ月かけて徐々におっぱいの回数を減らしていきましょう。
おっぱいの回数を減らすのは日中から
最近よく聞く「夜間断乳」は、ホルモンの分泌からは相反しているようですね。
おっぱい生成ホルモン【プロラクチン】が出るのは夜間です。※プロラクチン
おっぱいは夜にたっぷりつくられて、夕方にかけて出にくくなっていきます。このホルモンの自然な流れを利用して離乳を進めると、体に負担がかかりにくいです。
日中たくさん活動し三食きちんととり始めた子どもが飲むおっぱいは、「お母さんとの愛着」の意味合いに変わっていきます。お外でいっぱい遊ばせながら、日中のおっぱいの回数を徐々に減らしていくとよいでしょう。
以前、関わったお母さんで、『3月に夜間断乳しましたが4月から職場復帰で保育園に入れます。おっぱいはまだあげたいので、夜のおっぱいを再開したいです』とおっしゃっていた方がいました。ホルモンは急激に適用することができませんので、これは避けた方がいいですね。
おっぱいを止めるときのケア
まずは、少しずつ回数を減らしてから、回数が減ったところで、おっぱいを止める方がお母さんのおっぱいにも、お子さんにも良いでしょう。
最終的に止めるときには、3日間(72時間)が勝負です。
できるだけおっぱいをためて、痛くなったら乳首をさわらずおにぎりしぼりで少し楽になるくらいに圧をぬきます。そうしておっぱいをできるだけためながら抜いていくと、痛いですが自然とおっぱいはつくられなくなります。我慢できない痛みではないのですが、乳腺が細い方、乳腺炎を起こした方、しこりができやすい方などは痛みを感じやすく、トラブルになりやすいので、気をつけた方がいいでしょう。
お母さんのおっぱいは、一人ひとり違うので、一般的なやり方というのはありません。個人に合わせて、細かい指導を受けて、おっぱいを止めていくのが望ましいでしょう。
子どもへの言葉かけ
赤ちゃんは生後7.8か月で、お母さんとのやりとりがかなりできていますので、1歳前後でしたら、カレンダーに×をつけていく作業をしながら、「この日におっぱいとバイバイしようね」と語りかけるのがいいと思います。
お子さんは何のことか理解していないかな、と感じるかもしれません。でも、お母さんが何かを伝えたい、ということは分かっていると思いますし、お母さんの心の準備にもなるでしょう。卒乳・断乳は、お母さんのおっぱいの卒業式でもあります。お互いにその日をいい思い出にできるようにしたいですね。
昔は、おっぱいに「からしを塗る」「こわい絵を描く」といったことをして、こわがらせるようなことをしましたが、それは避けた方がいいでしょう。最近は、おっぱいにアンパンマンを書いたりする方もいますね。断乳中で、お子さんがお母さんの洋服をめくったら、「おっぱいがアンパンマンになっちゃったよ、ばいばーい」というと、お子さんは「ばいばーい」と笑顔で反応してくれることも多くみかけますよ。
4月から保育園に通う子は?
たとえば新人さんが職場に入って、環境に慣れるのに何か月くらいかかりますか?
個人差もありますが、だいたい3か月くらいですよね。お母さんも久しぶりの職場や新しい生活リズムに慣れるのに時間が必要です。
それはまた子どももしかり。
4月から保育園に預ける方で「うちの子1歳前後だし大丈夫かな…?」という場合は、あえて入園前におっぱいをやめず、少し伸びしろを取ることをおすすめします。つまり夜の授乳だけ残しておき、2.3か月たって母子ともに大丈夫だなと感じたら、やめるかどうか考えるとよいでしょう。
専門家によって言うことが違う
最近は情報があふれていて、それにふりまわされるお母さんがかわいそうだなと思います。
睡眠の専門家は、「細切れ睡眠はホルモンバランスによくないので、夜間断乳を」とすすめますし、歯医者さんは「虫歯になるので夜間の授乳はやめましょう」と言います。どれもその通りです。お母さんたちの判断にまかせるしかないのですが、私からお伝えできることは、目の前のお子さんはどうですか?ということです。
繰り返しになりますが、だいたい1歳~1歳半頃に、おっぱい以外のお母さんとのコミュニケーション(背中トントンや抱っこ)で安心できる瞬間がきます。状況がゆるされるのであれば、お子さんの心身の発達を意識して、前述の離乳の視点をとりいれて、ご自分のお子さんの場合と照らし合わせてみるのはいかがでしょうか?
やってみると意外に「トントンで寝た!」ということもありますので、目の前のお子さんがおっぱい以外でも安心できているかどうか、よく観察してみましょうね。
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※本コラムは、ライター桃子が山本先生へ取材した内容をまとめる形でお届けいたします。