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赤ちゃんのおしゃぶり 歯並びが悪くなる?!良くするには? 歯医者に聞く0~1才の歯並び【歯医者コラム総集編1】

柏の葉総合歯科・小児歯科院長 康本征史

人の身体の中で、唯一生え変わる器官である「歯」は、実に不思議かつ合理的進化的。
でもいい加減なところもある、面白い器官です。
今回は赤ちゃんの歯や歯並びについてお話します。

赤ちゃんの【歯の卵】

皆さん、【歯はどこから生えてくるのか】知っていますか?
答えは、【顎の骨】からです。
では生後6ヶ月頃、歯茎を破って生えてくる小さな前歯。どうやって歯になるか知っていますか?

歯になる前の【歯の卵】は、骨の中の歯嚢(しのう)という膜の中で生まれ、歯冠(しかん:歯の頭の部分)からできます。

草木のように、根から茎など下から形成されるのではなく、歯は、歯冠(頭)から出来てきます。

なぜ、頭から出来るのか、当然理由があります。
その理由は「生きるため(食べるため)」

乳児(お乳だけで成長できる)時期は、歯を必要としませが、1才近くになると、お乳だけでは成長をさせるだけのカロリーが取れないことから、歯が準備されています。
しかし生後わずか1年では、根からゆっくり歯が形成されると間に合わず、頭(冠)から出来上がったと考えられています。

ちなみに、歯嚢の中で作られる歯の表面【エナメル質】は、エナメル芽細胞(がさいぼう)から作られます。
物を作る細胞なので、歯が生えるまでは生きています。
しかし歯が生えると同時にエナメル芽細胞は、歯の表面から離れ消失します。

もし、歯が生えた後もエナメル芽細胞が生きていたら何が起こると思いますか?
[食べる時、歯が痛くて噛めない]という現象が起こります。
生体が生き延びるために、1つの細胞として死を選ぶ。そんな自己犠牲のエナメル芽細胞なのです(泣)
 
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0才児の歯並びと虫歯

生後6ヶ月頃から出てくる、小さな可愛い上下4本の歯は、乳中切歯(にゅうちゅうせっし)と呼ばれます。
その後約半年で出てくる歯の名前は、乳側切歯(にゅうそくせっし)
名前の通り切歯は、切る(カット)という役割からついたもの。

歯が出てきたということは、もっとカロリーを摂る必要が出てきた!という合図でもあります。
ゆっくり育っている子どもは、歯もゆっくり出てきます。
反対に、月齢が少なくても大きな子どもは、早めに出てきます。

あくまでも必要になったら、歯が生えてきます。
歯が出てくる時期は、骨格系の成長に合わせ個人差があるので、あまり気にしすぎない方が良いでしょう。

卒乳(断乳)時期が大体生後1年位と言われているのも、歯が生えてくることと関連があると思います。
離乳食、普通食へと進んで行きましょう。

また、この時期に「ウチの子の歯並びは大丈夫でしょうか」「やたら前歯が大きいような気がするのですが…」「虫歯が心配なんです」
といった心配をするママがいます。

しかし、そうはいっても乳歯ですので、いずれ全部抜けてしまいます!
(ただし、永久歯が先天的にない場合は、乳歯が残ることも)
虫歯になっても、歯並びの良し悪しも、永久歯次第ですので、あまり気にしないでください!
 
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口呼吸と歯の関係性

1才半をすぎて2才児近くになると、「乳臼歯(にゅうきゅうし)」が登場してきます。

「奥歯が生える→噛める」ということで、普段食べている食事が[舌ですり潰せる]ものから、[歯で潰せる]ものへ変わっていきます。

逆に今までは、もぐもぐと口を動かしていたのは、実は噛めているわけではなく、ある程度舌で潰して小さくなったら飲み込んでいたのです。
※舌が常に上の前歯裏側を押し付けるように物を食べていると、「出っ歯」になってしまうため、食事の際は注意して見てみましょう。

この時期から徐々に母乳やミルクを飲む機会が少なくなり、鼻呼吸から口呼吸になってしまう子どもがいます。
母乳やミルクを飲んでいる時には、口からおっぱいを吸うので、基本的に鼻呼吸しています。
しかし、離乳食→普通食になってくると、口呼吸になってしまっている子どもをよく見かけます。
いわゆる「口ぽか〜ん」な状態です。

では、なぜ口呼吸は良くないのか?
それは、風邪などに罹りやすくなるからです。
口ぽか〜ん→風邪をひく→鼻づまり→さらに口呼吸→鼻炎が長引く→口呼吸がクセになる
と、負の連鎖になります。

まずは口を閉じるトレーニングをしましょう。
 
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おしゃぶりによる鼻呼吸と歯並び

口を閉じるトレーニングの一つとして有名なのが、おしゃぶりです。

おしゃぶり中は、当然口呼吸はできないので、鼻呼吸になります。
おっぱいを吸っていない時間は、おしゃぶりをくわえていることで、鼻呼吸が癖づきます。

またおしゃぶりを吸うことで、口の周りの筋肉、口輪筋(こうりんきん)を鍛え、口を閉じる役割があります。
したがって、【吸う→口輪筋力UP→自然と口が閉じる→口ぽか〜んが治る】となります。

しかしおしゃぶりをすると、鼻呼吸が身につくが、歯並びは悪くなります。
おしゃぶりをしていると、どうしても上の前歯の歯並びが悪くなってしまいます。

難しいことですが、私個人の意見は、「歯並びは後から直せても口呼吸は簡単に直せない」と思っています。
まずは、正しい呼吸の仕方をマスターさせることが大切です。

ただおしゃぶりすれば良いわけではありません。
口輪筋を鍛えることが目的なので、おしゃぶりは、乳歯の奥歯が生えてくる1才半頃からやめる準備を始め、2才過ぎまでにはやめられるといいですね。
 
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※本コラムは、ライターAoiが過去の専門家コラムを参考に、再編成しております。
参照:日本小児歯科学会


柏の葉総合歯科・小児歯科院長 康本征史院長先生の記事は下記のリンクからご覧ください。
1・赤ちゃんの歯の卵はどんな形?
2・生後6ヶ月から1才頃に生える上下乳前歯とは?
3・赤ちゃんの前歯のむし歯の判断と歯並び!
4・1歳児頃の乳前歯の歯並びと虫歯の関係
5・1歳頃では、むし歯はできない?砂糖が入るか?
6・1歳児の歯は歯磨き必要か?歯ブラシではなくガーゼ
7・むし歯の条件と、フッ化物の利用を!
8・1歳半~2歳過ぎ、「乳臼歯」登場!鼻呼吸から口呼吸へ
9・おしゃぶりの功罪(鼻呼吸と歯並び)

 

 

(ライター Aoi)

 

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