「これ、これ~!」と絵本を読んで欲しくて私に駆け寄ってくる1歳の娘。
絵本の楽しさを知ったのか、読み聞かせを始めてから、とにかく私は今そんな娘たちの変化に嬉しくて仕方がありません。
実は少し前まで、子どもに絵本を読んであげることはいいと分かっているけど、なかなか読んであげられないというのが現状でした。
その理由として、「時間がない」「気持ちのゆとりがない」、などの忙しさの理由や「読んでいる最中、子どもがパラパラとページをめくり集中できない、読みたくなくなる」「何を読んであげたらいいのか分からない(ママ友談)」、などがありました。
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これでいいの?!我が家はNO TV、NO LIFE…
特に朝や夕飯の支度の忙しい時間帯は、好きなテレビ番組やビデオを子どもに見せて、自分は家事に集中。さらに最近ではスマホという便利なツールに頼ってしまい、4歳の娘につづき、1歳の娘までスマホを自由に操り動画を見るという始末です。いけないと思いつつ、面白くて釘付けになっている娘たちの姿を見て、「楽しそうだし、まぁいいかー」と自分の手も空いてラクちんという快適さもあり、ついつい見せてしまう日々の繰り返し。絵本はそっと隅に積み重ねられたままの状態になっていました。
子どもにとって最高の音は、人間生身の声
とある子育てサークルに参加した時のこと。先生の一言に衝撃を受けました。
「3歳まではテレビを見せないほうがいい。テレビなどの機械音ではなく、ママやパパの人間生身の声をたくさん聞かせることがとっても大切です。子どもはママやパパの声が大好き。絵本をたくさん読んであげたり、わらべ歌を一緒に歌ったりしてくださいね。」
それを聞いたとき、1歳娘のスマホをいじる姿が頭をよぎりました。「これはマズイ」と・・・。
テレビやスマホ漬けにしてしまった環境を今さらゼロにするのは不可能です。でも、その10分の1でも減らすことができたらと思い、まずは5分間でもいいから、子どもと絵本を読む時間を設けようと決心しました。
読み聞かせの楽しさを知るためには、読んでもらうのが一番
最近、絵本を読んでもらうという機会に何度か恵まれました。
ある日、絵本専門店に娘と訪れたときのこと。店主さんが紙芝居を読んでくれました。大きな絵を見ながら聞いているとグイッと一瞬にして紙芝居の世界に引きこまれました。
また別の日、図書館司書によるママのための絵本講座でママに絵本を読んでくれる場面がありました。そのときのなんとも言えない心地よさは今でも思い出します。単純明快、簡単な言葉の羅列なのに、それが絵と一緒に合わさると楽しくて優しくてあったかくて…。
これらの体験によって、いつもは読む側でしかないけれど、「絵本ってなんて面白いのだろう」と読んでもらうことの楽しさを味わうことができました。だれかに読んでもらうと、言葉がすっと入ってきて、ストーリーと絵と言葉のリズムを同時に楽しめます。
その楽しさを知ったことで、一気に絵本への興味が湧きました。そして、子どもにもこの楽しさを伝えてあげたい、読み聞かせをしてあげたいという衝動に駆られ、その講座の後、すぐに本屋さんへ走ったことを覚えています。
絵本は親子の時間と絆を作ってくれる
絵本「ぐりとぐら」の著者でもあり、映画「となりのトトロ」の主題歌「さんぽ」の作詞を手掛けた中川李枝子さんは著書の「ママ、もっと自信をもって」の中でこう語っています。
「絵本を子どもと一緒に読むことの最大の効用は、スキンシップです。(中略)
特に子どもが小さいうちは、絵本を読んでもらう以上に、お母さんにぴったりくっついていられるのがうれしい。子どもが喜ぶとお母さんはうれしいし、お母さんが喜ぶと子どももうれしい。密着する母子の間に絵本がある、というのが子どもにとっていちばんの楽しみなのです。大そうに考えずに、親子で一緒に過ごす時間の1つととらえてほしいですね。幼い子どもは、お父さん、お母さんのひざの上が大好きなのですから。」
今になって、忙しかった父や母に替わり、祖父が寝る前によく絵本を読んでくれたことを思い出します。「どんぶらこ~どんぶらこ~」と祖父がリズムよく読んでくれた記憶は思い出すたび懐かしく優しい気持ちになります。紙芝居や絵本を読んでもらったときの心地よさはきっとこの記憶が呼び起こされて感じていたのかもしれません。
5分間から始まった読み聞かせがいつかは心の栄養になる
あのサークルでの衝撃の一言から始まり、今では毎日読み聞かせのために時間を作るようになりました。たとえ5分間だったとしても、いつの間にかそれが私たち親子の間で習慣となり、中川さんの言う通り、姉妹で私の膝の取り合いをするほどになりました笑。
とくに1歳娘の絵本に対する反応が予想以上に良く、絵を見て笑ったり、言葉を真似して言ってみたりと、今までにない新しい発見がありました。
今では気に入った絵本を携え駆け寄ってくるようになり、さらにそれを見た4歳の娘も今まで以上に絵本に対して興味を持つようになり、毎晩読み聞かせをしてから寝るというのが習慣となりました。
紙芝居を読んでくれた店主さんが言っていました。
「たくさん絵本をお子さんに読んであげてください。いつかお子さんがお父さんやお母さんに読んでくれるときがあるでしょう。そしたら喜んで聞いてください。そして読み聞かせを親子でお互いに楽しんでください。」
絵本の読み聞かせは親子間のスキンシップやコミュニケーションのツールになるのはどうやら間違いなさそうです。いまだテレビやスマホに触れる時間はありますが、主人も読み聞かせに協力的で、絵本を通して家族みんなが触れ合う時間を今まで以上に持てるようになったのが変化として大きくあります。
そして私が祖父からたくさんもらったように、いつかそれは心の栄養となって、きっと子どもの成長を支えてくれるものになるでしょう。
(ライター mayumi)
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